泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「まあ、もう時間切れだけどね。それにしても臭いわ。こんな場所にいられたものじゃない」
泣いて母親の亡骸の横で座り込んでいたステラは立ち上がり、背を向けたユア王女のドレスを掴んだ。
護衛がステラを引きはがそうとするが、ユア王女が良いと手を振った。
ステラを貶め楽しむためにユア王女はここに来たのだ。
「母は?!どうしてこんなことに?!!」
誰にも言い返したことがないステラは母親の死を目の当たりにして、生まれて初めて大声で怒った。
「なーにステラ?あなた怒ったりできたの?言っとくけど殺したのは私じゃないわ」
「私が、私が暗殺できなかったから!?」