泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラが取り乱して問いただす様子をユア王女はクスクス嘲笑った。
ドレスが汚れるとでも言いたげにステラが掴む裾をひったくったユア王女は、扇子を取り出して口元と鼻を隠した。鼻につく臭いを遠ざけるためだ。
「薬は普段通り買えたはずなのにね。その女は勝手に死んだのよ。
自殺よ、自殺」
「自殺?!お母さんがそんなことするわけな……」
「死体のそばに手紙が残ってたわ。えーっとなんだったかしら?娘の邪魔になるくらいなら、とかだったような?」
衝撃の言葉に、ステラの目から一切の涙が消えた。ステラはユア王女の肩を揺さぶって声を張り上げる。
「手紙はどこにあるんですか!」