泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「女一人守るために国を丸ごと封印した男が言うこととは思えねぇな」
今日もしっかりルキナにボコられたジオはまた天を仰いで騎士団の訓練場に寝転がっていた。
「こればっかりは時間が必要だろ」
「わかってるけど……」
事情を知ったルキナもジオと共に、澄んだ空を仰いでいた。
喪失は時間が癒す。だが、ステラの母親の死に方は惨かった。あまり長くステラが泣いていると、心が病んでしまうとみんな心配していた。
「母親の手紙、残ってたら良かったんだけどな」