泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ルキナが零した言葉にジオも深く頷いた。母の気持ちを書き記した最期の手紙の役割は大きかったはずだ。
「時間戻せないかなー」
「さすがにそれは神魔法」
無理を言い始めたジオは、青い空の上を赤い鳥が一匹飛んでいくの見た。
「あ!カルラン様?!」
「はぁ?!」
いきなりカルラ国が敬愛する神様の名前を叫んだジオは、ルキナを置き去りにした。走って、ステラが引きこもる夫婦の寝室へ向かう。
(カルラン様なら時間を戻せるんじゃ?!)
ジオが期待を込めて部屋に戻ると、そこはもぬけの殻だった。
『ちょっと散歩してきます』
「どこに?!」