泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


ルキナが零した言葉にジオも深く頷いた。母の気持ちを書き記した最期の手紙の役割は大きかったはずだ。


「時間戻せないかなー」

「さすがにそれは神魔法」


無理を言い始めたジオは、青い空の上を赤い鳥が一匹飛んでいくの見た。


「あ!カルラン様?!」

「はぁ?!」


いきなりカルラ国が敬愛する神様の名前を叫んだジオは、ルキナを置き去りにした。走って、ステラが引きこもる夫婦の寝室へ向かう。


(カルラン様なら時間を戻せるんじゃ?!)


ジオが期待を込めて部屋に戻ると、そこはもぬけの殻だった。


『ちょっと散歩してきます』

「どこに?!」

< 407 / 480 >

この作品をシェア

pagetop