泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
突然外に散歩に出かけたステラは泣き続ける毎日を乗り越えようとしている。そんなステラのためなら、ジオは泥水だって飲める。
「あれだよ!カルラン様がくれた黒い玉!」
ステラはすっかり存在を忘れていた黒玉が、いつもスカートのポケットに入っていたことを思い出した。
ステラが黒玉を手の平に乗せると、ジオはうーんと首をひねる。
「どうやって使うんだろ?」
「そうですね……呼んでみるとか?」
「いいね。ステラちょっと呼びかけてみてよ」
「私がですか?」
「カルラン様ってステラのこと気に入ってるみたいだからね。腹立つけど」
にこっと笑って、腹が立つと付け加えるジオの情緒がステラにはつかめなかった。