泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

水面の上を波紋をつけながらヒタヒタと悠然に歩くカルランの威風堂々な姿に、ステラは固くなった。


勢いで呼び出したのは自分だが、またジオが襲われたらどうしようかとスカートの端を握り締める。


「神を呼びつけるなど、言い度胸だな、ステラ」

「……は、はい。ごめんなさい」

「よい、お主なら許す。声が可愛い!」

「寵愛はやめてください。俺の花嫁なんで」

「ああ、悲しみに暮れる花嫁に何一つしてやれない夫殿とはお主のことか?」

「ぐっ……」


やはり何でも知っているカルランの鮮やかな口の回りにジオは黙らされた。


「用件を聞こうかのう、ステラ?」

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