泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「ステラは愛くるしいのう、妙に鳥心をくすぐる女じゃ。一つ付け加えるならば、我の初めての女に特に似ておる」
「ものすごく引きました」
ジオは今すぐステラを抱えて城に帰りたくなった。
初恋の女にステラを重ねているとは、怖すぎる。神が本気なら攫って行くのも可能かもしれない。
「カルラン様に攫われると困るので、ステラを封印します。俺が封印すればカルラン様でも知覚できない」
「それは困るのう」
(封印すれば、カルラン様は人間を見ることができない?)
赤い翼でくちばしを撫でるカルランに、ステラは光明を見た。
ある作戦を思いついたのだ。
(ならこれは、その、お、おおお脅せるんじゃ?)