泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
剣を振るい魔法をぶちかます強い女に囲まれて育ったジオにとって、触れたら壊れそうなステラは女の概念を吹っ飛ばした。
ルキナはまだ立ち上がらないジオの隣に胡坐をかいて座って腕を組んだ。
「お前の母さん、サーシャ様はか弱そうに見えるだろ?」
「見えるだけ。サーシャが怒ったらレオより強いんだぞ?この前、キドナ国に単騎突撃したのがレオで幸運だよ?」
「サーシャ様がキレてたらキドナ国が粉々だったからな」
「それな。ありえないくらい女って強い」
空を見上げて放心するジオにルキナが手を差し出す。ジオはあっさり手を取って身軽に起き上がる。
「女ってそうじゃん。強いじゃん。なのに、ステラが泣いたらさ……」
「何だよ?」