泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
花嫁、母に会いました
◇◇◇◇◇◇
ステラの実家の一軒家で、ベッドに座り涙を流す母が語り掛けてきた。
母の膝に乗った鳥、トリィからの視界のようだった。ステラはその映像に食い入った。
「ステラに謝らなくちゃいけない。こんな老いぼれた母を庇って嫁いだなんて知らなかったんだよ」
ステラが息を飲むと、隣にやってきたジオがステラの肩を抱き寄せる。一人でないことは、ステラが真実を受け止める強い支えになる。
母は一枚の手紙を握り締めて、そこにポタポタと涙の雫をいくつも落としていた。