泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
その日のトリィの記憶はそこまでだったようで、また違う日の映像が流れる。ステラの母は先程の映像よりもすっかり痩せこけていた。
窓枠に乗っているトリィに、ステラの母は語り掛けた。
「トリィ聞いておくれ。ステラに手紙を書いたんだよ。届くかはわからないけどね」
妙にさっぱりした母の顔に、ステラは息を飲んだ。ジオの腕を縋るように握る手に力が入る。
母はトリィに向かって、自分が書いた手紙を読み始めた。
「ステラへ。
娘の邪魔になるくらいなら母はここで命を終えます」