泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
母の声に乗せて届いたその言葉にステラは涙が噴き出す。
だがステラはこれから予期される最悪の現実から目を逸らさなかった。
この記憶を見ることができるのは、たった一度だ。
ステラは母の言葉を耳に焼き付ける。
「ステラを生んだこと、
本当に、本当に幸せでした」
母は手紙を読みながらステラと同じ色の瞳でぼろぼろと大粒の涙を零した。ステラも同じように涙に震える。
「ステラと生きた日々は、母の宝物です。
老いぼれた母のために一生懸命働いてくれて。
世話してくれて。いつだって優しく笑ってくれた。
老いた母など捨て置けばいいのに、最後までステラはこんな母を見捨てなかった。
ステラは、誰より心優しくて、誰より愛らしい。
私の自慢の娘です」