泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「でも母が『幸せになりなさい』と言い残してくれました。
言いなりだった人生を止めて、
これからは自分で選んだ幸せを歩んでいきたいんです」
ステラはいつも俯きがちな顔を上げて、ジオの紫色の瞳をまっすぐに見つめた。
ステラの星屑が満ちたような青い瞳に、こんなに強い意志を感じるのは初めてだった。美しい瞳としっかり前を向いた意思にジオは魅入られる。
彼女はとてもか弱くて、でも前を向く強さを持とうと震えながら頑張る子だ。
そんな彼女が、ジオはとても、好きだった。