泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
「おうおう俺もやろう」
「私も私も」
ステラの周りに集まった大人たちは、畑の端に自生している白や薄紅色の花を摘んでステラに押し付けた。
両手いっぱいになるほど花を持たされたステラは慌てて弁解する。
「あ、あの私、お金を持っていなくて、支払えません」
「お金?金ってなんだ?」
「さあ。あ、黄金のことじゃない?」
「金ピカのことか?あんな食えないものいらないよハハ!」
(え、この国ってお金がないの?黄金がいらないって?信じられない)