泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラは花を抱えたまま、急いで頭を下げた。彼女は、王妃であり、ステラの義理の母となる方だ。
(王妃様、お若い!)
ステラは祖国に残してきた実母と比べて、あまりに若い義理の母に驚いた。長年苦労して働いて女手一つでステラを育てあげた途端に病を患った実母は、彼女に比べると老婆だ。
義母はステラの白頭を撫でて顔を上げさせる。
「王妃様なんて!サーシャって呼んで?カルラ国では王族も国民も大差ないんだから」
「そうなのですか?」
「実は私もキドナ国出身でね。最初は王様がとっても気さくで驚いちゃった」