泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
サーシャは祭壇の前で、この国はカルラン様を深く信仰しているという話をダイナミックな歴史と共に熱く語ってくれた。
だが、ステラは他のことが気になって話に身が入らない。機嫌を損ねるのではと思うと言い出せもしなかった。
そわそわそわそわして視線を揺らしていると、やっとサーシャが気づく。
「あれ?ステラちゃんどうかした?」
「あの、サーシャ様。私、ジオ様に騎士団に来るように言われていて」
「そうだったの?引き止めちゃってごめんね!場所わかんないでしょ、送ってあげる!」
「あ、ありがとうございます」