泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─



騎士団に送り届けられたステラは、木の影から一人でジオを見守っていた。サーシャは仕事があると行ってしまった。


(楽しそう。なかなか、声かけるのためらっちゃうな……)


やっと訓練場に来てみれば、ジオは明るい空の下、楽しそうに人に囲まれている。


(ジオ様が万人に好かれる人だってのは少し過ごしただけでもすごくわかる……昨日も本当に何もなかった)


一つしかない大きなベッドをステラに当然と譲ってくれたジオは、固い木の長椅子に寝転がってくれた。

町の人たちはジオをよろしくと口々に言い、ジオの母は自慢の息子だと笑った。
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