泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
ステラの顔の鼻から下が丸いくちばしに覆われる。マスクを付けた姿はまるで顔だけ鳥の鳥人間だ。
(あ、このマスクってアレに似てる)
ステラは丸いくちばしの中で息がこもった。
自分の今の姿を想像するとキドナ国を襲い「マリを返せ」と言ったあの男に酷似しているのがわかる。
「ステラのマスクの盾魔法は、俺が入れたんだ」
ジオは、またパチンと指を鳴らして鞄をどこかへ消してしまった。魔法でモノが出し入れ可能のように見えた。ジオがずかずかと紫色の森の中に突入していく。
(あ、待って、え、待って?)