泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
鳥人間風のステラは慌ててジオの後を追った。毒気がある紫色の森に足を踏み入れた素顔のジオは平気でお喋りを続けていた。
「ステラは出かけるときマスク常備ね!」
スタスタ歩いて行くジオの服の端をぎゅっとステラは握った。
「待ってください、ジオ様」
「何?」
ステラに服の端を掴まれたジオは足を止めて振り返る。
ここは毒があるんだよと言いつつ、スタスタ毒気が満ちた場所に突入していくジオを捕まえた。
(どうして人にマスクを付けて自分は無防備なの?!)
ステラはジオが自殺したいのかと思って慌てて捕まえたのだ。ジオが自殺してくれたら万々歳のはずのステラは、ジオを見上げてか細い声を出した。
「ジオ様もマスクをなさってください……」
「あ、そっかそうなるよね!」