泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
不安げに眉をハの字にしかめたステラの潤んだ瞳に刺されて、ジオは顔にじわじわ血の気が上った。
(潤目、かわい……)
ジオは涙目に反応する自分を飲み込んで、ステラの白頭をそっと撫でて誤魔化し笑った。
「俺は、毒気が平気なんだ」
「え?」
「だから大丈夫!」
はにかんで笑ったジオは紫色の森の中を本当に平気そうに歩く。ジオが振り返ってステラを手招きするので、ステラはぴょこぴょこついて歩く。
「さっき盾魔法は毒気を除去できるって言ったでしょ?
俺の身体に盾魔法の性質が染みついてる感じかな?
昔から毒気が平気なんだ」