泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─


早く早くと急かされたステラはくちばしマスクを外して、地面に座って靴を脱ぎだした。

ゆっくりもたもたするステラが素足を晒す様子を見てしまったジオは、一人静かに青い天を仰いだ。


(靴脱ぐだけなのに、素足見てらんないのなんだろうこれ……)


整った顔立ちに魔法の才があり、さらには誰にでも平等に優しいジオである。


彼はカルラ国中の年頃の女の子の初恋を無自覚に奪って来た経歴の持ち主たった。

優し過ぎて誰も特別視できなかったジオは誰からの告白にも真摯にお断りした。


博愛が過ぎる!と国中がドン引いた。
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