泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─

「そうなの?キドナ国にはなかった?」

「あるかもしれませんが、私は王都から出たことがなくて。こんなにたくさんの水は知らなくて、そのちょっと、あの」

「怖い?」


唇を噛みしめたまま青い目を潤ませてジオを見上げたステラは、こくんと一つ頷いた。

ジオは騎士団連中の中では背の高い方ではない。だが、ステラからすれば十分高身長で、ジオを見つめれば自然と上目遣いになる。


(潤んだ瞳、上目遣い……)


ジオはステラの、一挙一動が好みど真ん中で真顔になるしかない。


(可愛いな、この子)

< 94 / 480 >

この作品をシェア

pagetop