泣きっ面に恋々!─泣き虫な身代わり花嫁と、泣き顔フェチな純真王子の恋々な結婚事情─
銀色の髪が光り輝いて、紫の瞳が溌剌と生命力に満ち、優しさをあふれさせて笑う彼に、ステラの心は全部持っていかれた。
ステラの封印しようと思った恋々を、一瞬で全部掻っ攫われた。
恋が始まるのを止めるなんて、
誰にもできなかった。
(酷いです神様。こんな恋。意味ないじゃないですか)
殺すはずの相手に心を奪われたステラは、神様を恨んだ。
差し出された手に、ステラは自然と手を重ねた。彼の優しさは拒めない。
「手繋ぐの、嫌になったら、ちゃんと言ってね」
ステラの手をキュと優しく握ったジオは、少しだけ頬を染めてはにかんだ。
「俺は嫌にならないから」