帷くんは秘め事が大好きらしい
好きの想いが強すぎて、他人宣言をされるのが怖いなんて。
いつの間に私は、こんな臆病者になっちゃったんだろう。
私へのアンチが収まったら、メンタルも落ち着くと思う。
それまではお願い。
そっとしておいてください。
私のスマホが震えている。
電話だ。
公衆電話って表示が出てる。
きっとお父さんね。
また、家にスマホを忘れたんでしょ。
私は何の迷いもなく、通話をポチリ。
「もしもし」
この時、勘違いしてしまったのがいけなかったらしい。
『帷くんを騙すな!』
出なきゃよかったと後悔しても、もう手遅れで
『私はあんたの顔も住所も、知ってるんだからな!』
スマホから聞こえてきたのは、発狂しているような女性の怒鳴り声。
『この世からいなくなれ! 二度とこの世に戻ってくるな! バカ女!』
怒鳴られつづけ、その後ブツリ。
一方的に、通話が切られた。