帷くんは秘め事が大好きらしい


学校にいると、いろんな場面で悲しみがこみあげてくる。

この苦しみから、今すぐ逃げたいとさえ思ってしまうことも。

それでも学校に通えていたのは、モモちゃんと由乃ちゃんのおかげなんだ。


「まどか、宿題映させて」


「フフフ。モモちゃん、ちゃんと家でやってきましょうね」


「まどか先輩、聞いてください。お父さんとお母さんの仲が、ちょっとだけ良くなって。前より家の中に、笑い声が飛び交うようになって。まどか先輩のおかげです。本当にありがとうございます」


「由乃ちゃん。辛いことがあったら、また私に吐き出してね」


「まどか先輩、大好き~」


登下校中、休み時間、お昼休み。

一人でいるのがしんどいなって時には必ず、二人がべったりと私に引っ付いてくれていたから。



松岡君はというと……


「俺が近寄ると、川島が悪く言われるから」

あえて、私と距離を取ってくれているみたい。


放置じゃないよ。

無責任でもない。

むしろその逆。

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