帷くんは秘め事が大好きらしい

「モモちゃん、またあとでね」


「あっ、まどか!」


ん、どうしたの?

いきなり、心配そうな顔で眉を下げて。


「あんたさ、本当にチアに出て大丈夫?」


「えっ?」


「うちらに気を使ってる? 二人だけでも平気だよ。私と由乃ちゃんで、総長様に負けないようにガチダンスするし」


「昨日はたっぷり寝たし、キレッキレにチアを踊る自信あるよ。私」


「あのさ……そういうことじゃなくてさ……」


わかっているよ。

チアを踊るっていうことは、ステージ下からたくさんの非難の矢が飛んでくるということ。

私が傷つかないように、モモちゃんは気を使ってくれているんだよね。


子供の頃から変わらないな。

そっけない態度の中に、優しさをたっぷり詰め込んでプレゼントしてくれるところ。

本当に嬉しいよ。ありがとう。

でもね……

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