帷くんは秘め事が大好きらしい
私は多目的室に着いた。
引き戸を開け、部屋に入る。
ハンガーにかけておいた衣装を持って、教室に戻らなきゃ。
そう思って、部屋の奥に進むつもりだった。
それなのに……
「まどか……せんぱい……」
私の耳に届いた、泣きそうなほどか細い声。
「こっ…、、、これはね……」
部屋の奥の窓際にいるのは、ジャージ姿の帷くん。
「あのその……なんて言うか……」
金色の髪とブルーの瞳を揺らし、困惑したように震えている。
帷くんが右手に握っているハサミも、小刻みに揺れていて……
あれ?
これは……一体……
カーテンレールに釣るされている、ハンガーにかかった3着の衣装。
真ん中にかかっている1着が、なぜか見るも無残な姿に。
誰かに、ハサミで何か所も切り刻まれたんだろう。
衣装にはたくさんの穴が開いていて。
縫い付けてあったレースもスパンコールも、床に散らばっていて……
何が……起きたの?