帷くんは秘め事が大好きらしい
目を疑ったまま、私はズタボロの衣装から視線を逸らせない。
この衣装は、私が何日もかけて一生懸命作ったもので……
今日の体育祭のために、寝不足になりながらも仕上げてもので……
帷くんがハサミを持ってるのはなぜ?
俺はとんでもないことをしてしまいました。
そんな罪悪感に浸りきった顔で、なぜうつむいているの?
帷くんは、何も話そうとはしない。
床をじっと見つめたまま、ハサミを胸に抱き震えている。
二人の間に流れる、沈黙の時間。
驚きで口が固まって、悲しみで心が凍り付いて。
絶望感に襲われている私は、何も言葉を紡げない。
「まどか先輩……実はね……」
気まずそうに顔を上げた帷くんと、視線が絡んだ。