帷くんは秘め事が大好きらしい

「帷くんが……衣装をボロボロにしたの?」


そんなはずない。

絶対に違う。

そう思っていたのに。




「……ごめん」



……それって。




帷くんが、苦しそうな顔でうつむいた瞬間

ブチっ!

私の中に押し込まれていた苦しみの感情が、一気にあふれ出してきた。


――帷くんに……裏切られた……?


荒波のように暴れ狂う失望感に、私は耐えられない。


――言ってくれたよね? 衣装づくり頑張ってねって。

――応援してくれていると思ったのに……なんで……


裏切られたという信じたくない事実が、怒りの涙となって私の瞳からこぼれてしまう。



帷くんとの写真がネットに出回って以来、私は耐え忍んできた。

みんなに悪口を言われても、我慢して。

人前では泣かないように、悲しみを押し殺して。


休まず高校に来て、なんとか顔に笑顔を張り付けて。

私なら平気、大丈夫だって自分を励まし続けて。

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