帷くんは秘め事が大好きらしい
耳障りなほど嫌味な声。
勝ち誇ったようにパチパチと手を叩き、ドアをくぐって俺の方に歩いてきたのは……
「由乃……さん……」
俺と同い年の高1で、まどか先輩が心を許している人。
キュート系な顔を不気味に崩した由乃さんは、段ボールの蓋を開けると
「あれ~? ゴミのようにズタズタにしたの、1着だけ? 全部のチア衣装を切り刻むって、約束したはずだけどなぁ」
不機嫌顔でチア服を一枚手に取り、座り込む俺の前でユラユラさせた。
「やろうとはしたよ。ただ……まどか先輩が……」
「私も誤算だったよ。こんな早い時間に、まどか先輩がチア服を取りに来ちゃうんだもん」
怒りがこみあげてきて、俺は立ち上がり由乃さんに詰め寄る。
「なんでこんなことをするの? まどか先輩が悲しんでいたのを見たでしょ? 由乃さんはまどか先輩のことが好……」
「好きだよ。ほんと大好き。家族とまどか先輩以外は、この世からいなくなって欲しいくらいにね」
「それなら……」
「ほんと邪魔なのよ。まどか先輩の周りを陣取る奴らが」
「……えっ、邪魔?」