帷くんは秘め事が大好きらしい


校舎にもたれ、止まらない涙をぬぐい続けている私。

ここからグラウンドは、全く見えない。


でも


「まもなく、借り物競争が始まります」


放送部の人たちのアナウンスは、しっかりと聞こえてくる。



午前最後の種目かぁ。

これが終わるまでは、誰にも見つからない校舎裏で縮こまっていよう……


いろんな感情まじりの涙をこぼし、顔を膝に押し当てしゃがみ込んでいると


「ここにいたか、さぼり魔」


頭上からワルめいた声が降ってきた。


「はぁ~、やっと見つけた。どれだけ俺が、探し回ったと思ってるんだよ。元副会長が体育祭をバックレるなんて、野いちご学園始まって以来じゃね?」



上から突き刺さるような俺様声。

顔を上げなくても、私の目の前に立っているのが誰なのかわかる。


今年の夏までの1年間、生徒会メンバーとして一緒に活動をしてたんだから。


そうだよね?

東条くん。

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