帷くんは秘め事が大好きらしい
「オマエ、耳の穴あいてるよな? 高瀬帷が今、マイクを使って断言しただろうが。川島のことが好きだって」
「聞いてた……けど……」
「あいつの心の叫び、ちゃんと受け取ってやれ」
「……でも、本当にいいのかな? ……私なんかで」
「自分が辛い時に「助けて」って、川島が帷に吐き出せるようになれば、お前らは無敵のカップルになれるんじゃねぇーの」
「……」
「まぁ、ラブラブカップル一位を死ぬまでぶっちぎるのは、俺と美織だけどな」
フフフ、なにそれ。
東条くんって、自分の恋バナで場の雰囲気を和ませようとするタイプなんだ。
おかげでちょっとだけ、前向きな気持ちになれたよ。
「東条くん、ありがとう」
「別に」
「彼女さんにも、感謝を伝えておいてね」
「体育祭中に大人気モデルから、マイクを使って公開告白をされたって話しておいてやる」
「それは……さすがに恥ずかしすぎる……」
「美織の奴、他人の幸せ話を聞くのが大好きなやつだから。じゃぁな」