帷くんは秘め事が大好きらしい

私に背を向け、手をひらひらさせ、グラウンドに向かって歩く東条くん。

座ったまま私は、東条くんの背中に軽く一礼をした。



この世から消えたいと思っていた。

他人に非難されまくる人生を、終わらせたいと願っていた。


でも、今気が付いたよ。

自分を一番苦しめていたのは、他人じゃない。

自分自身なんだって。



みんなに嫌われたくない。

良い人だって思われたい。


私は、いつもみんなに笑顔を振りまいてきた。

困っている人を見つけては、声をかけてきた。


他人からの『いいね』が欲しくて、承認欲求を満たしたくて、他人の顔色ばかり気にして生きてきたけれど。

私に足らなかったのは、『他人に嫌われてもいい』という覚悟だったんだ。

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