帷くんは秘め事が大好きらしい
帷side
☆帷side☆
全校生徒の前で、俺はマイクを使って告白をした。
まどか先輩が聞いていますように。
俺の想いが伝わっていますように。
心の底から、強く願いながら。
マイクを放送部の子に返してから、数分が経過したけれど。
キョロキョロしていても、まどか先輩が現れる気配は全くない。
俺のせいで中断している借り物競争。
生徒みんなを待たせているのが、申し訳なさすぎ……
「俺のことは気にせず、再開して欲しいです」
放送部の隣のテントにいる先生に、俺は頭を下げた。
ゴールできぬまま、俺は放送テント横に立ち尽くしているけれど……
――しんどいなぁ。
やっと言葉として紡ぐことができた恋心が、行き場をなくし、さまよっているようで。
――会いたいなぁ。
夢の中でも微笑みかけたいと願ってしまうほど、大好きな人に。今すぐ。