帷くんは秘め事が大好きらしい
ゴールは諦めよう。
借り物競争は途中棄権。
好きな人と結ばれるHAPPYENDも、悲しいけれど諦めて……
闇曇る心と同じ色に、瞳が陰る。
はぁ~と溜息を吐きながら、俺は応援席に向かって歩き出した。
でも……
すぐに、足が固まった。
5歩くらいしか歩いていないのに、これ以上足が動かない。
だって……
光を失い絶望していた俺の瞳に、人影が映ったから。
部室棟と体育館の間、放送部のテントに向かって走ってくる生徒がいる。
紺色のジャージ姿の女子。
頭に巻いた青いハチマキをなびかせ、ポニーテールを揺らしている。
あの人は……まどか先輩だ。