帷くんは秘め事が大好きらしい
間違いない。
俺の瞳が、大好きな人を見間違うはずがない。
必死に走る彼女の瞳が捕らえているのは、確実に俺で。
考えるより先に、俺は駆けだしていた。
全力で走って、まどか先輩のところに向かう。
グラウンドを囲むフェンスの外。
手を伸ばせば触れられる距離まで近づき、俺たちは走るのをやめた。
お互いの呼吸が荒れている。
11月なのに、俺たちの首筋には汗が垂れている。
今にも泣きそうな顔で俺を見つめる、まどか先輩。
罪悪感が沸き上がって。
心がじりじりと痛んで。
まどか先輩を笑顔にしたくて。
柔らかく微笑みながら、俺はまどか先輩の頭を撫でる。
「俺に気持ち、ちゃんと届いた?」