帷くんは秘め事が大好きらしい


恥ずかしそうにうつむく、まどか先輩。

コクリ。

俺から視線をそらしながらも、小さく頷いてくれた。



そっか、良かったぁ。

今は俺の気持ちをわかってくれただけで、十分。


「まどか先輩のことが大好きだよ。返事は急がないから、ゆっくり考えてくれたら嬉しいな」


――そしていつの日か、俺に惚れてくれますように。




切実な願いを込め、とことん甘い声を奏でてみた。

俺は一般人じゃない。


モデル・高瀬帷の恋人になるということは、世間から監視され、好き放題ネットに書き込まれる人生になると言っても過言ではない。

だから、無理強いはできないけれど……


――俺のこと、大好きになってよ。




「……ねぇ……帷くん」


うつむいたままのまどか先輩に、名前を呼ばれた俺。


「……貸してもらっても……いいかな?」


彼女のためらい声に、「何を?」とハテナを返す。

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