帷くんは秘め事が大好きらしい


私の瞳に飛び込んできた、クリーム色のカーディガン。

……見覚えがある。

イヤイヤ、まだ本人だと確定するには情報不足。


次に目に留まったのは、痛み知らずのユルふわ髪で。

階段の窓から差し込む光で、金色に輝いている。


きめの細かい、ツヤ肌フェイス。

サファイアのような、青い瞳がはめ込まれていて

――綺麗だなぁ。

そう思った時には、私の脳内で答え合わせが完了していた。



なぜ彼は、苦しそうに顔を歪めているんだろう。

長い廊下を、慌てて追いかけてきたの?

ハァハァと息がきれているし。


私の手首を掴んでいるのは、なぜ?

たくさんのファンの子たちに見られてるのに、いいの?


私、お願いされたよ。

人前では、他人のふりをしって。


追いかけてきた理由、ちゃんと教えてよ。

ねぇ、(とばり)くん。
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