帷くんは秘め事が大好きらしい
ちょい悪っぽく光る、黒紫色の髪。
普段から鍛えているのがわかる、細マッチョな体型。
彫の深い顔面パーツは、どれも美しい形をしていて。
感情の起伏が激しい総長をなだめ、コントロールする技量。
そして男子たちの輪の中心で笑いを生み出す、ユーモラスまで持ち合わせていて。
俺は入学当初から、密かに副総長を尊敬していた。
それなにの。
同じ男として憧れていた相手が、まさか恋のライバルになるなんて……
俺は路地にしゃがみ込んだまま、顔を上げ
「恋なんて、一生しないって決めていたのになぁ……」
ビルの隙間から覗く青空を、瞳に映した。
今が9月末だから、2か月はたっているのか。
俺がまどか先輩に心を奪われたのは、夏休み前のこと。
とある放課後。
多目的室を通りかかった時、中から怒鳴り声が聞こえてきた。