帷くんは秘め事が大好きらしい
「私の叔母さんがやってるお店なんだよ」
「大人気カフェですよね?」
「背中にしょったフライパンで、ホットケーキを焼くのが好きなゾルルってキャラクターがいてね。生意気であまのじゃくなんだけど、不器用に甘えちゃうところが可愛いの。ちっちゃな羽がついてて、口から火をブワって出して。陽花里ちゃん、知ってる?」
「……黒っぽい、シルエットくらいしか」
「陽花里ちゃんにも、ゾルルを好きになってもらいたいなぁ。個室もたくさんあるんだよ。ゆっくりおしゃべりができるし。今から行こうよ!」
「でも、補習が……」
「私は陽花里ちゃんと、放課後デートがしたいの。ワガママな先輩からの、ものすごーくワガママなお願い、聞いてもらえたら嬉しいんだけどなぁ」
「まどか先輩が、本当に良ければ……」
「私が陽花里ちゃんと一緒にいたいんだって。さっ、行こう! ものすごーく可愛い、ゾルルのシャーペンがあるの。私も使ってる。陽花里ちゃんにプレゼントしちゃうから、ねっ!」
何……これ……
俺の足、得体のしれない震えに襲われているんだけど……