帷くんは秘め事が大好きらしい

壁に張り付き、なんとか自分の身を隠した俺。

多目的室を出て、笑顔で廊下を歩く二人の背中を見つめながら、まだ動けないでいる。


補習を受けない理由が、他人のため?

また先生に怒鳴られるかもしれないのに、それでもいいの?

下級生の子に笑顔を絶やさないのは、気を遣わせないための配慮だよね?


初めてだ。

脳がマヒしたような、心がザラつくような、血液が沸騰するような。

こんなごちゃまぜの感覚を味わうのは。


心が温かくなって。

でも、苦しみの波に襲われて。


静まらないのは、心臓の爆動。

肌を突き破りそうなほど激しく心臓が飛び跳ねているから、痛て苦しい。


それなのに不快ではなく。

心地よさとともに、切なさまで押し寄せてくる。

俺の中で、何が起きているのかわからない。


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