わがまますぎる私に先輩が教えてくれたこと
「莉乃」
「あっ、穂乃ありがとう」
「莉乃ちゃん、さっきはありがとう」
「いえ、予備のメガネがあってよかったですね」
ニコッと莉乃は笑った。
「お世話になりました」
先輩は莉乃に頭を下げてお礼をいう
三年生なのに頭下げてる……
穂乃はびっくりした。
先輩は振り返ると穂乃を見た。
「じゃあ穂乃ちゃん今日の放課後、何か用事ある?」
「いえ?」
「じゃあ少し話そう、門で待ってて、三年生は片付けあるから少し遅くなるけど……待てるかな?」
「あっ、はい」
じゃあ放課後ねと、先輩は自分のテントに戻って行った。
「……莉乃、今日は一緒に帰れない」
穂乃は先輩の後ろ姿をじっと見ていた。
「わかった(笑)」
体育祭も無事終わり穂乃は門で待っていた。
30分ほど正門で待っただろうか
「穂乃ちゃんお待たせ、少し先に公園があるんだ」
先輩が笑顔でやってきた。
少し後ろを歩き公園に入っていく。
二人は公園のベンチに座った。
「じゃあまずは連絡先交換ね」
「はい」
携帯をお互い近づける。
「穂乃ちゃんは何で通学してるの?」
「電車…」
「ん?」
先輩が聞き直してくる。
あれ?聞こえなかったかな……
「あっ、電車です!」
こういうとこだ、穂乃のバカ!
「(笑)僕は歩きで20分くらいかな、あと吹奏楽部の部長をしてる」
「吹奏楽……じゃあまだ引退してない……んですね?」
「クリスマス公演までかな」
「何の楽器ですか?」
「トランペット」
「あまり楽器のことはわかりません」
「僕もバスケのことは授業でやった程度だね」
二人は無言になる。