猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。
「この前会ったときはお互い私服でしたもんね」
「わたしより年下なんてびっくりです」
容姿が大人びてるし、ここまで気遣いができて落ち着いてるから。
「僕のほうが後輩なんで敬語使わなくていいですよ」
「え、でも」
「もう駅に着きそうですね」
さっきまでの気分の悪さと頭痛はどこへやら。
気づいたら最寄り駅に到着。
電車から降りると、梵木くんは人の波に流されて階段のほうに行っちゃう。
同じ学校とはいえ、もう話せる機会ないかもだし。
お礼を言うなら今しかない……!
「あのっ、この前と今日助けてくれてありがとう……!」
とっさに梵木くんのブレザーの裾をキュッとつかんでしまった。
一瞬、梵木くんがびっくりした顔をして。