猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。
ずっとめまいが続いて、気持ち悪くなる。
頭もまだ痛いし。
それに加えて、朝の通勤通学ラッシュで電車は満員。
いつもなら平気だけど、今は立ってるだけでつらい。
学校の最寄り駅に着くまであともう少しの我慢……。
「先輩」
「…………」
「咲桜先輩」
「……え? あ、柚和くん」
ずっと下を向いてたから、声をかけてもらうまで全然気づかなかった。
「僕さっきから先輩の目の前にいたのに」
「……あ、ごめんね。寝不足でボーッとしてて」
電車の微妙な揺れすらも無理……かも。
人の間に挟まれてるから、身動きも取れないし。
「……先輩? 大丈夫ですか?」
「……ん、うん。平気」
なんだかさっきよりもボーッとする。
かなりしんどいかも……。