猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。
下からすくいあげるように、柚和くんがわたしの首筋のあたりを見てる。
さらにちょこっと指先で触れながら。
「……隠しちゃダメですよ」
甘く耳元でささやかれた言葉の意味が、いまいち理解できず――。
わたしがそれに気づいたのは、体育の授業の前。
制服から着替えて、髪をひとつに結んだとき。
「ちょ、ちょっ咲桜。それなに?」
普段あんまり慌てない風音ちゃんが、何かに気づいてびっくりしてる様子。
「え、え?? わたし何か変かな?」
「まさかの自覚なし? わー、これは大変だねぇ」
「な、なになに!? 気になる!」
風音ちゃんが両手を広げて、やれやれって顔してる。
「いろいろ気になるのはこっちだからね。首元のそれ、誰につけられたの?」