猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。
渡り廊下から、こちらに向かって歩いてくるふたり組。
げっ……あれは柚和くんでは?
学年が違うから、校内ではあんまり会うことないのに。
こういうときだけタイミングばっちり。
ど、どうしよう。
このまま歩いていったら、すれ違うのは確実。
正直、いま顔を合わせるのは気まずいよぉ……。
「ち、千茅くん! ちょっとこっち!」
「え?」
柚和くんから死角になるように、とっさに千茅くんの腕を引いた。
千茅くんが壁に手をついて、わたしの身体をぜんぶ覆ってる。
こ、これはいい感じに隠れてるのでは?
あとはこのまま柚和くんが通り過ぎてくれたら……。
「那花さん、俺はこの体勢でどうしたらいいかな」
パッと顔をあげたら、千茅くんが少し戸惑ってる。