猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。
もしかして、髪に何か引っかかってる?
パッと目をそちらに向けると。
え、うわ……どうしよう。
わたしの髪の毛が、そばに立ってる人のカーディガンのボタンに引っかかってる……。
なんとかして取りたいけど、人がすごくて思うように動けない。
しかも、結構複雑に絡んでる……!
苦戦してる間に、駅に到着してしまった。
まさかこんなことが起こるなんて……。
うぅ……これは仕方ない。
このカーディガンの人が降りるまで辛抱だ。
ここで一緒に降りてもらうわけにはいかないし。
あぁ、ほんと今日ついてない――。
「この駅で降ります?」
「へ……?」
真上から降ってきた声に、反射的に顔をあげてびっくり。