猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。
今さらになって、さっきの梵木くんは幻なんじゃないかと思い始めてきた。
だって、あの完璧で優しい梵木くんが、あんな言い方する?
うん、さっきのは梵木くんじゃなかった。
そうそう、わたしが憧れてる梵木くんは今も健在――。
「あー……だる」
うわぁ……まって。
この声ぜったい梵木くんじゃん。
わたしの知ってる梵木くんと、今ここにいる梵木くんと人格が違いすぎて……!
この部屋の中にいるのは、間違いなく梵木くんだよね?
頭の中パニック状態で、中を覗き込もうとしたのが失敗。
扉に手をついた瞬間、ガタッとかなり大きな音が。
わわっ……やってしまった。
もしかしたら、バレてない可能性も――。
「……で。今そこにいる人は誰ですか?」