猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。
今こうして笑ってる顔も、本心とはまったく違うだろうから、あなどっちゃいけない。
「咲桜先輩、僕の声聞こえてます?」
「ひっ! か、顔近い……!!」
梵木くんがわたしに目線を合わせるように、顔を覗き込んできた。
これにびっくりしたのは、わたしだけじゃなくて周りの女の子たちも。
「え、那花さんと梵木くんってどういう関係?」とか「ふたりの接点って何もなくない? なんで梵木くんがわざわざ那花さんに会いに来てるの?」とか……。
すでにざわついている教室内。
周りの視線が、一気にわたしたちに集中……。
そばにいる風音ちゃんも何事?って顔してる。
これは早いところ梵木くんに立ち去ってもらうしかないのでは――。