猫をかぶった完璧イケメンくんが、裏で危険に溺愛してくる。



ちゃんとお礼言えなかったな……。


それから少しの間、わたしはホームに突っ立ったまま。


「うぅ、あの笑顔であんな優しいのずるい……」


頬に触れると、さっきよりも熱い。

それに、さっきのわたしに向けられた笑顔が忘れられなくて。


交わした会話も、ほんとに少しだったのに。


我ながら単純かもしれない。

けど……。


「どうしよう、胸のドキドキが止まらない……」


恋に落ちた音がした。


* * *


休み明け。


いつも通り電車で学校へ向かう。


朝のこの時間は通勤通学ラッシュで、電車に乗るのもひと苦労。


人の間に挟まれて、押しつぶされそう。

電車が揺れると人も動くから。

つい最近出かけた休みの日よりも人がすごい。

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