あなたにペチュニアの花言葉を
可愛い後輩
「紗奈ちゃん!お願い!」
「うん!」
その声と共にバトンを受け取って走る。
そう今は文化祭も終わり体育祭の練習をしていて種目はリレーや長縄や玉入れ、応援合戦などたくさんの種目がある。
そして今練習しているのがリレー。
私は運動が苦手だから走るのも少し苦手…。
特にリレーみたいな長距離を走るのはほんとーに苦手。
だからかな?ちょうど今、私の足が引っかかってしまった。
その勢いで私は前に倒れた。
「きゃーーーーー!!」
「妖精が!」
「誰か!救急車を呼べ!」
なんか悲鳴がするし騒いでいるけどそりゃ目の前で倒れられたらそんな反応しちゃうよね。
騒いでいる内容は擦りむいたことが痛くて何言っているのかはわからない。
「紗奈!大丈夫か⁈」
「美優。大丈夫よ。少し転んで擦りむいただけだから」
美優を見ると本当焦っていたり心配してくれていることがわかる。
「そんなこと言って血も出てるし本当は痛いだろ。早く保健室に行くぞ。誤魔化したって無駄だぞ。幼馴染の目は誤魔化せないんだけらな」
そんなこと言ってくれる心優が嬉しくてつい笑ってしまう。
「ふふ。うん…。本当はちょっと痛いんだ。でもそんなに大したことないから練習再開しよ?ね?」
「そうかそう言うなら仕方ない…」
よかった。諦めてくれた。
「なんていうか!そんなに言うのなら私が強制的に運ぶぞ」
「今のは呆れめてくれる流れでしょ…」
「そんな流れなどない」
「美優の頑固〜」
「そんなこと言っているが紗奈の体に傷でもできたらどうするんだ」
美優は本気で私を保健室に連れて行こうとしている。
私は抜けてもそんなに支障はないけど美優が抜けたら他のみんなが困ってしまう。
しょうがない…。諦めよう…。
「もう分かったよ〜保健室に行くよ」
「そうかなら」
「でも、保健室には私一人で行くからね?」
「一人で大丈夫か?」
「うん!大丈夫!だから美優は頑張って走ってきてね」
「…あぁ分かった。何かあったらすぐに言ってくれ」
「うん。分かった!じゃぁ美優も頑張ってね」
そうして私は急いで保健室にむかった。
でないと美優の気が変わってしまったらついてきてしまうと分かっていたから。だから、少しだけそう…少しだけ痛みを我慢して私は歩いた。
頑張ってなんとか保健室まで着いた。
「失礼します」
「はいどうぞ!足を怪我してるんだね。そこに座ってね。すぐに用意するから」
とても可愛らしい女の子は私の擦りむいた足を見るなりテキパキと動いた。
やっぱりこの子は健康委員の人かな?
「どうしてこんなに怪我したの?」
「え?私ですか?」
「うん。普通ならあんまりこんな怪我しないと思うんだけど…」
普通だと…やっぱり私の運動が苦手なことは普通ではないのかな?
「その〜リレーで走ってたら自分の足に引っかかってこけてしまって…」
言葉にすると恥ずかしい…。
「へぇ〜。紗奈先輩は運動音痴なんですね」
「違うの!私、運動音痴じゃないよ!苦手ってだけだからね?」
笑った顔でそんなこと言うなんてこの子結構ひどい!
運動音痴っていう言葉…ちょっと嫌なのに。
「そうなんですね」
「なんか酷くない〜?後輩だよね?」
「そうですね。僕一年ですから」
やっぱり一年生なんだ!
僕って言ってるのもギャップだな〜。
「はい紗奈先輩手当て終わりましたよ」
「あ!本当だ〜ありがとう」
「いえいえ。これも仕事なんでお礼を言われる立場ではありません」
「仕事でもこうやって正確に手当できているのもすごいと思うよ?」
「そう…ですか。なんか紗奈先輩に言われると自信が出てきますね」
「それなら私も嬉しいな!」
「はい…」
「そろそろ私行くね。改めて手当ありがとう」
「いえ。また怪我したらきてくださいね」
「うん。じゃぁまた会った時はよろしくね」
そうお別れをして保健室を出た。
ふふ。なんかあの子と話せたの少しの間だったけど楽しかったなぁ〜。
「付き合ってください!」
急に聞こえてきた声。
これは、もしかして告白の最中!
気になるけどでも覗き見はダメだよね…。
いやでも…。
「少しくらいならいいよね…ちょっとみるだけですぐに去るし」
そう言って私は声がする教室の扉から少し覗いた。
女の子は誰だろう…?
「すみません。私付き合っている人がいるので無理です!」
この声はまさか…。
「氷上さん!春の王子と別れればいいじゃないか!」
「それは、できません!」
「なんでなんだ!やっぱり顔が整っている人じゃないといけないのか?」
やっぱり、ふゆりちゃん!そして相手は過激派の人か…。
ふゆりちゃんと美優は顔がすごく整っている。
なので、この学園にはファンクラブがたくさん存在している。
大きく分けて、個人推しやカップル推しで分かれていて私はそのファンクラブを管理している。
しかしどちらにも当てはまらない少数派な人違もいる。
その人達はいわゆるガチ恋勢…。ふゆりちゃんと付き合いたいがために行動が荒く周りや対象までを傷つけるといったことがある。
だから、ふゆりちゃんに告白している人はガチ恋勢の中の過激派。
まず、適度かはわからないけど影からこっそり押す人たちは、ふゆりちゃんが幸せであることが一番なため告白は絶対しない。
それより、このまま放っとくのもダメなのでふゆりちゃんを助けに行かないと。
「そこ!ふゆりちゃんにそれ以上近づけば罰を与えるわよ!」
「妖精⁈なぜここに」
妖精…。気づいたらなぜか言われていたあだ名…。
「たまたま声が聞こえてきてみたらふゆりちゃんに告白するだけではなく別れさせようとまでした。ふゆりちゃんの幸せを奪うだなんて…許せない!」
「紗奈さん!」
「そんなこと言っていいのか?」
「え?」
「氷上さんは俺の近くにいる…生徒会にいる妖精なら分かるよね?」
「あら?そちらこそそんなこと言っていいのかしら?」
「何を言っている」
「その子に手を出したらどうなるのか分かっているのよね?」
「あぁでも、今は春の王子はいない!」
「何を言っているの?ほら、」
そう言って私はケータイのやり取りを見せる。
「なんで妖精が」
そう。私が見せたのは桜宮はるというラインのやりとり。
春の王子は桜宮くんのあだ名だ。
相手を見るとやっぱり相当焦っているみたい。
「なんでってわからない?私がZEROだから。過激派のあなたなら分かるよね?」
「あぁ…ZEROはたくさんの手段、ルールで学園の花を守っている。噂では春の王子だと言われていたが妖精だなんて…」
「春の王子もZEROよ?」
「え?」
「あれ?知らない?まぁでも学園の花"だけ"っていてる時点で詳しく知っていないわよね。ZEROは学園の花以外にもプリンスなどをも持っている。それにZEROは一人ではない試験に受かったものは全員ZERO」
「そんな…そんな噂聞いたことない」
「まぁ受かった人には口止めしているしそれに試験難しくしすぎたせいでクリアできるひとなかなかいないのよ。春の王子が来る前に…今言ったことは誰かに言ったりしないですぐに忘れてね?もし言ったらどうなるかは分かるよね?」
「はい!」
「うんよろしい!」
「紗奈さん?なんか言っていることがわからないんですが」
「ふゆりちゃんは知らなくていいことよ。それよりほら王子のお出ましよ」
「ふゆ!」
「はるくん!」
ふふ。私が目の前にいるのにそんなイチャイチャしちゃって…。
「ふゆ無事?紗奈先輩から連絡来た時本当に相手をどうしようかと…」
「はる君、大袈裟すぎだよ?確かに怖かったけど紗奈さんがすぐに助けに来てくれたし…。ほらはる君もきてくれたでしょ?だから私は平気だよ」
ふゆりちゃん!!
私も男だったら絶対過激派になってた…。
いや…そんなことになったら…私は多分生きていないだろう。
王子の手によって。
「ふゆ」
「うん」
「ちょっと紗奈先輩と一緒に帰ってくれない?」
「はる君は?」
「僕はちょっと用事があるんだ」
「そっか…。分かったじゃぁ紗奈さん行こう!」
「そうだね」
「紗奈先輩お願いします」
「桜宮くん…加減はしなくてもいい…だけど学校は壊さない程度にね」
「学校を壊すって?」
「ふゆりちゃんは知らなくてもいいことだよ。それよりも歩きながらお話ししない?」
「はい!」
「紗奈先輩ありがとうございます…」
「いいのよ。私たちがいたら思いっきりできないでしょ」
「そうですね。ふゆに告白なんかしてきた身の程知らずには罰を与えなきゃですからね」
「今さっきも言ったけど程々にしてね」
「分かっていますよ。もう始めたいんですが」
「えぇじゃぁあとはよろしく」
そう言って私たちは空き教室から離れた。
「紗奈さんはるくんと何話していたんですか?」
「これは嫉妬?」
「ち、違いますよ!」
「ほんとかな〜?」
「本当ですよ!ただちょっと気になっちゃて…」
「ふゆりちゃんが心配するようなことは何もないよ。ただちょっとお話をしただけだから」
「本当ですか?」
えぇ本当よっと言うつもりだった。
だけどドン!!と言う音に遮られてしまった。
桜宮君…。約束と違う!あの音絶対イラつきすぎて周りのものを壊した…。
「今の音私たちが出て行ったところからしませんでした?」
「え?そうかな?多分誰か体育祭に使う道具を落としたんだと思うよ」
「だったら助けに行かないと…」
「多分大丈夫だと思うよ」
「でも…」
ごめんね。ふゆりちゃん本当はふゆりちゃんお願いを叶えてあげたい。
私もそんな人がいたらすぐに駆けつけたい。
だけど今回だけはダメなんだ。
桜宮君のあんなところを見たらふゆりちゃんは確実に気絶する。
一部のものしか知らないが、桜宮君は過去に何度かふゆりちゃんに害をなす人たちをボコボコにしていた。
それはそれは言葉にできないほど凄くて、相手に同情するくらいだった。
そんなところをふゆりちゃんには見せてあげれない。何よりそれを見ていたふゆりちゃんと別れることになったりだとかしたら私の人生は高校で終わってしまう。
だから阻止せねばいけない!!
「気にしなくていいよ。多分もう片付け終わっていると思うしね?」
「う〜んいいのかな?」
「うん。大丈夫大丈夫」
「紗奈さんがそこまで言うなら。きっと大丈夫ですよね」
「うん大丈夫だよ」
ふゆりに告白してきた人以外は。
それからたくさん話した。
体育祭の話や恋バナなんかも。
盛り上がっている途中でとても笑顔で戻ってきた桜宮君がきたので、私はふゆりちゃんとまた今度と言って美優の元へ向かっていった。
私が戻ってくるとすごい勢いで私の元に駆けつけてきた美優。
すごく心配してくれていたことが伝わって「大丈夫だよ」と言って、そのあとは全力で美優の応援をした。
❅•❅•❅
今日はもう終わりだけだから後は帰るだけ。
体育祭練習なのでいつもより動いたりしてどっと疲れが乗っかっている。
下校はいつも一人だ。
美優やふゆりちゃんは彼氏と一緒に帰っているし、帰る方面が真逆だからだ。
一人で帰るのは少し寂しかったけど、今思うと結構のんびりできていいのかもしれない。
いつものように私は帰ろうと正門から出ようとした時に多くの女性が何かに集まっていた。
何かのイベントかなんかかな?
私は少し気になって集まっているところに向かった。
「山野君可愛いー!!」
「碧くん!一緒に帰ろ〜!」
山野碧君?にこの人達は集まっているのかな?
美優やふゆりちゃんの陰から応援というのと違ってバリバリとみんな本人の前でアッピールとかするんだな〜。
「…先輩!」
ちょっと参考になった。
「紗奈先輩!」
「え?誰か呼びました?」
ちょっと考え事していたから呼ばれていることに気づかなかったみたい。
「僕が呼んだんだよ!」
「あなたは保健室で手当てしてくれた可愛い子!」
「覚えていたんですね」
「それは今日会ったことだし覚えているよ」
「それはそうですね」
笑った顔も可愛いだなんてやっぱりファンクラブとかも多そう。
「そういえばあなたも山野碧君?を見にきたの?」
「え?違いますよ。山野碧は僕ですし」
「へぇ〜やっぱり違うんだ」
こんなに可愛い子が…あれ?うん?
「あなたが山野碧君?」
「はい!そうですよ!」
「え?男の子だったの?」
「そうですよ!先輩ひどいな!僕歴とした男の子なのに!」
いやいや…。
その外見を持っていたら誰もが女の子だって思うでしょ。
「それよりね。紗奈先輩一緒に帰ろ!」
「私と?」
「うん!」
「でも他の人とかと帰る約束とかしていないの?」
いまさっき「一緒に帰ろ!」って言っている声が聞こえたし…。
「してないよ!ちょうど紗奈先輩が見えて今日一緒に帰りたいなって思ったんだ〜!」
「うぅ…眩しい…。やっぱり顔が整っている人の笑顔はいつも眩しすぎる」
「その言葉紗奈先輩にお返ししますよ?」
「私にお返しされる言葉じゃないよ」
「そんなこと言わないでくださいよ!紗奈先輩可愛いんですから!」
か、か可愛い?私が?
「ほら先輩!行きましょ!」
「ちょ!待って!山野君!」
そうして私は山野君を追いかけた。
「はぁ、はぁ、はぁ…早いよ山野君」
「紗奈先輩が遅いだけじゃないですか?」
「うっ!山野君ひどい!結構気にしてるのに!」
「そうですか。紗奈先輩僕のこと碧くんって言って?」
「え?」
「僕も紗奈ちゃんて呼びたいし敬語なしにしたい」
「私は別にいいけど」
「ほんと!やったー!よろしくね紗奈ちゃん!」
「うんよろしく碧くん」
「それより一緒に帰るって言ったけど家とか違う方面だったりしない?」
「全然そんなことないよ!僕の家こっち方面だし!」
「ならよかった」
「紗奈ちゃんは体育祭応援団とかするの?」
「う〜ん。私はしないかな。友達はするって言っていたけど…」
「へぇ〜そうなんだ」
「急にどうしたの?」
「紗奈ちゃんに応援されたら頑張れるのにな〜って思っただけだよ」
「ふふ。応援団じゃないけど碧くんのこと応援するね」
「ほんと!やったー」
急にジャンプして喜んでいる碧くんを見ると心が癒されるな〜。
それから結構話をした。
碧くんとすっごく気があって話が盛り上がった。
「あっ!私の家についちゃった」
「紗奈ちゃんの家ここなんだ〜」
「うん。そうだよ。碧くんはまだ遠い?」
「その逆ですごく僕の家と紗奈ちゃんの家近いんですよ」
「え?そうなの?」
「うん。歩いて一分もかからないくらい」
確かに山野っていう人が近所の人でいた気がする…。
「紗奈ちゃんと家が近いと言うことは登下校も一緒にできるね」
「確かにそうだね」
「じゃぁこれから一緒に登下校しよう?」
「うんいいよ」
「じゃ明日の朝迎えに行くからよろしくね」
「うん。私もよろしくね」
それから、私と碧くんは一緒にいる時間が増えていった。
そうして私は碧くんと話している時がとても嬉しくて楽しい時間になっていった。
だけど碧くんが他の女の子と話しているのを見ると私は心の中ごモヤっとした。
その気持ちは何か私にはわからなかった。
「うん!」
その声と共にバトンを受け取って走る。
そう今は文化祭も終わり体育祭の練習をしていて種目はリレーや長縄や玉入れ、応援合戦などたくさんの種目がある。
そして今練習しているのがリレー。
私は運動が苦手だから走るのも少し苦手…。
特にリレーみたいな長距離を走るのはほんとーに苦手。
だからかな?ちょうど今、私の足が引っかかってしまった。
その勢いで私は前に倒れた。
「きゃーーーーー!!」
「妖精が!」
「誰か!救急車を呼べ!」
なんか悲鳴がするし騒いでいるけどそりゃ目の前で倒れられたらそんな反応しちゃうよね。
騒いでいる内容は擦りむいたことが痛くて何言っているのかはわからない。
「紗奈!大丈夫か⁈」
「美優。大丈夫よ。少し転んで擦りむいただけだから」
美優を見ると本当焦っていたり心配してくれていることがわかる。
「そんなこと言って血も出てるし本当は痛いだろ。早く保健室に行くぞ。誤魔化したって無駄だぞ。幼馴染の目は誤魔化せないんだけらな」
そんなこと言ってくれる心優が嬉しくてつい笑ってしまう。
「ふふ。うん…。本当はちょっと痛いんだ。でもそんなに大したことないから練習再開しよ?ね?」
「そうかそう言うなら仕方ない…」
よかった。諦めてくれた。
「なんていうか!そんなに言うのなら私が強制的に運ぶぞ」
「今のは呆れめてくれる流れでしょ…」
「そんな流れなどない」
「美優の頑固〜」
「そんなこと言っているが紗奈の体に傷でもできたらどうするんだ」
美優は本気で私を保健室に連れて行こうとしている。
私は抜けてもそんなに支障はないけど美優が抜けたら他のみんなが困ってしまう。
しょうがない…。諦めよう…。
「もう分かったよ〜保健室に行くよ」
「そうかなら」
「でも、保健室には私一人で行くからね?」
「一人で大丈夫か?」
「うん!大丈夫!だから美優は頑張って走ってきてね」
「…あぁ分かった。何かあったらすぐに言ってくれ」
「うん。分かった!じゃぁ美優も頑張ってね」
そうして私は急いで保健室にむかった。
でないと美優の気が変わってしまったらついてきてしまうと分かっていたから。だから、少しだけそう…少しだけ痛みを我慢して私は歩いた。
頑張ってなんとか保健室まで着いた。
「失礼します」
「はいどうぞ!足を怪我してるんだね。そこに座ってね。すぐに用意するから」
とても可愛らしい女の子は私の擦りむいた足を見るなりテキパキと動いた。
やっぱりこの子は健康委員の人かな?
「どうしてこんなに怪我したの?」
「え?私ですか?」
「うん。普通ならあんまりこんな怪我しないと思うんだけど…」
普通だと…やっぱり私の運動が苦手なことは普通ではないのかな?
「その〜リレーで走ってたら自分の足に引っかかってこけてしまって…」
言葉にすると恥ずかしい…。
「へぇ〜。紗奈先輩は運動音痴なんですね」
「違うの!私、運動音痴じゃないよ!苦手ってだけだからね?」
笑った顔でそんなこと言うなんてこの子結構ひどい!
運動音痴っていう言葉…ちょっと嫌なのに。
「そうなんですね」
「なんか酷くない〜?後輩だよね?」
「そうですね。僕一年ですから」
やっぱり一年生なんだ!
僕って言ってるのもギャップだな〜。
「はい紗奈先輩手当て終わりましたよ」
「あ!本当だ〜ありがとう」
「いえいえ。これも仕事なんでお礼を言われる立場ではありません」
「仕事でもこうやって正確に手当できているのもすごいと思うよ?」
「そう…ですか。なんか紗奈先輩に言われると自信が出てきますね」
「それなら私も嬉しいな!」
「はい…」
「そろそろ私行くね。改めて手当ありがとう」
「いえ。また怪我したらきてくださいね」
「うん。じゃぁまた会った時はよろしくね」
そうお別れをして保健室を出た。
ふふ。なんかあの子と話せたの少しの間だったけど楽しかったなぁ〜。
「付き合ってください!」
急に聞こえてきた声。
これは、もしかして告白の最中!
気になるけどでも覗き見はダメだよね…。
いやでも…。
「少しくらいならいいよね…ちょっとみるだけですぐに去るし」
そう言って私は声がする教室の扉から少し覗いた。
女の子は誰だろう…?
「すみません。私付き合っている人がいるので無理です!」
この声はまさか…。
「氷上さん!春の王子と別れればいいじゃないか!」
「それは、できません!」
「なんでなんだ!やっぱり顔が整っている人じゃないといけないのか?」
やっぱり、ふゆりちゃん!そして相手は過激派の人か…。
ふゆりちゃんと美優は顔がすごく整っている。
なので、この学園にはファンクラブがたくさん存在している。
大きく分けて、個人推しやカップル推しで分かれていて私はそのファンクラブを管理している。
しかしどちらにも当てはまらない少数派な人違もいる。
その人達はいわゆるガチ恋勢…。ふゆりちゃんと付き合いたいがために行動が荒く周りや対象までを傷つけるといったことがある。
だから、ふゆりちゃんに告白している人はガチ恋勢の中の過激派。
まず、適度かはわからないけど影からこっそり押す人たちは、ふゆりちゃんが幸せであることが一番なため告白は絶対しない。
それより、このまま放っとくのもダメなのでふゆりちゃんを助けに行かないと。
「そこ!ふゆりちゃんにそれ以上近づけば罰を与えるわよ!」
「妖精⁈なぜここに」
妖精…。気づいたらなぜか言われていたあだ名…。
「たまたま声が聞こえてきてみたらふゆりちゃんに告白するだけではなく別れさせようとまでした。ふゆりちゃんの幸せを奪うだなんて…許せない!」
「紗奈さん!」
「そんなこと言っていいのか?」
「え?」
「氷上さんは俺の近くにいる…生徒会にいる妖精なら分かるよね?」
「あら?そちらこそそんなこと言っていいのかしら?」
「何を言っている」
「その子に手を出したらどうなるのか分かっているのよね?」
「あぁでも、今は春の王子はいない!」
「何を言っているの?ほら、」
そう言って私はケータイのやり取りを見せる。
「なんで妖精が」
そう。私が見せたのは桜宮はるというラインのやりとり。
春の王子は桜宮くんのあだ名だ。
相手を見るとやっぱり相当焦っているみたい。
「なんでってわからない?私がZEROだから。過激派のあなたなら分かるよね?」
「あぁ…ZEROはたくさんの手段、ルールで学園の花を守っている。噂では春の王子だと言われていたが妖精だなんて…」
「春の王子もZEROよ?」
「え?」
「あれ?知らない?まぁでも学園の花"だけ"っていてる時点で詳しく知っていないわよね。ZEROは学園の花以外にもプリンスなどをも持っている。それにZEROは一人ではない試験に受かったものは全員ZERO」
「そんな…そんな噂聞いたことない」
「まぁ受かった人には口止めしているしそれに試験難しくしすぎたせいでクリアできるひとなかなかいないのよ。春の王子が来る前に…今言ったことは誰かに言ったりしないですぐに忘れてね?もし言ったらどうなるかは分かるよね?」
「はい!」
「うんよろしい!」
「紗奈さん?なんか言っていることがわからないんですが」
「ふゆりちゃんは知らなくていいことよ。それよりほら王子のお出ましよ」
「ふゆ!」
「はるくん!」
ふふ。私が目の前にいるのにそんなイチャイチャしちゃって…。
「ふゆ無事?紗奈先輩から連絡来た時本当に相手をどうしようかと…」
「はる君、大袈裟すぎだよ?確かに怖かったけど紗奈さんがすぐに助けに来てくれたし…。ほらはる君もきてくれたでしょ?だから私は平気だよ」
ふゆりちゃん!!
私も男だったら絶対過激派になってた…。
いや…そんなことになったら…私は多分生きていないだろう。
王子の手によって。
「ふゆ」
「うん」
「ちょっと紗奈先輩と一緒に帰ってくれない?」
「はる君は?」
「僕はちょっと用事があるんだ」
「そっか…。分かったじゃぁ紗奈さん行こう!」
「そうだね」
「紗奈先輩お願いします」
「桜宮くん…加減はしなくてもいい…だけど学校は壊さない程度にね」
「学校を壊すって?」
「ふゆりちゃんは知らなくてもいいことだよ。それよりも歩きながらお話ししない?」
「はい!」
「紗奈先輩ありがとうございます…」
「いいのよ。私たちがいたら思いっきりできないでしょ」
「そうですね。ふゆに告白なんかしてきた身の程知らずには罰を与えなきゃですからね」
「今さっきも言ったけど程々にしてね」
「分かっていますよ。もう始めたいんですが」
「えぇじゃぁあとはよろしく」
そう言って私たちは空き教室から離れた。
「紗奈さんはるくんと何話していたんですか?」
「これは嫉妬?」
「ち、違いますよ!」
「ほんとかな〜?」
「本当ですよ!ただちょっと気になっちゃて…」
「ふゆりちゃんが心配するようなことは何もないよ。ただちょっとお話をしただけだから」
「本当ですか?」
えぇ本当よっと言うつもりだった。
だけどドン!!と言う音に遮られてしまった。
桜宮君…。約束と違う!あの音絶対イラつきすぎて周りのものを壊した…。
「今の音私たちが出て行ったところからしませんでした?」
「え?そうかな?多分誰か体育祭に使う道具を落としたんだと思うよ」
「だったら助けに行かないと…」
「多分大丈夫だと思うよ」
「でも…」
ごめんね。ふゆりちゃん本当はふゆりちゃんお願いを叶えてあげたい。
私もそんな人がいたらすぐに駆けつけたい。
だけど今回だけはダメなんだ。
桜宮君のあんなところを見たらふゆりちゃんは確実に気絶する。
一部のものしか知らないが、桜宮君は過去に何度かふゆりちゃんに害をなす人たちをボコボコにしていた。
それはそれは言葉にできないほど凄くて、相手に同情するくらいだった。
そんなところをふゆりちゃんには見せてあげれない。何よりそれを見ていたふゆりちゃんと別れることになったりだとかしたら私の人生は高校で終わってしまう。
だから阻止せねばいけない!!
「気にしなくていいよ。多分もう片付け終わっていると思うしね?」
「う〜んいいのかな?」
「うん。大丈夫大丈夫」
「紗奈さんがそこまで言うなら。きっと大丈夫ですよね」
「うん大丈夫だよ」
ふゆりに告白してきた人以外は。
それからたくさん話した。
体育祭の話や恋バナなんかも。
盛り上がっている途中でとても笑顔で戻ってきた桜宮君がきたので、私はふゆりちゃんとまた今度と言って美優の元へ向かっていった。
私が戻ってくるとすごい勢いで私の元に駆けつけてきた美優。
すごく心配してくれていたことが伝わって「大丈夫だよ」と言って、そのあとは全力で美優の応援をした。
❅•❅•❅
今日はもう終わりだけだから後は帰るだけ。
体育祭練習なのでいつもより動いたりしてどっと疲れが乗っかっている。
下校はいつも一人だ。
美優やふゆりちゃんは彼氏と一緒に帰っているし、帰る方面が真逆だからだ。
一人で帰るのは少し寂しかったけど、今思うと結構のんびりできていいのかもしれない。
いつものように私は帰ろうと正門から出ようとした時に多くの女性が何かに集まっていた。
何かのイベントかなんかかな?
私は少し気になって集まっているところに向かった。
「山野君可愛いー!!」
「碧くん!一緒に帰ろ〜!」
山野碧君?にこの人達は集まっているのかな?
美優やふゆりちゃんの陰から応援というのと違ってバリバリとみんな本人の前でアッピールとかするんだな〜。
「…先輩!」
ちょっと参考になった。
「紗奈先輩!」
「え?誰か呼びました?」
ちょっと考え事していたから呼ばれていることに気づかなかったみたい。
「僕が呼んだんだよ!」
「あなたは保健室で手当てしてくれた可愛い子!」
「覚えていたんですね」
「それは今日会ったことだし覚えているよ」
「それはそうですね」
笑った顔も可愛いだなんてやっぱりファンクラブとかも多そう。
「そういえばあなたも山野碧君?を見にきたの?」
「え?違いますよ。山野碧は僕ですし」
「へぇ〜やっぱり違うんだ」
こんなに可愛い子が…あれ?うん?
「あなたが山野碧君?」
「はい!そうですよ!」
「え?男の子だったの?」
「そうですよ!先輩ひどいな!僕歴とした男の子なのに!」
いやいや…。
その外見を持っていたら誰もが女の子だって思うでしょ。
「それよりね。紗奈先輩一緒に帰ろ!」
「私と?」
「うん!」
「でも他の人とかと帰る約束とかしていないの?」
いまさっき「一緒に帰ろ!」って言っている声が聞こえたし…。
「してないよ!ちょうど紗奈先輩が見えて今日一緒に帰りたいなって思ったんだ〜!」
「うぅ…眩しい…。やっぱり顔が整っている人の笑顔はいつも眩しすぎる」
「その言葉紗奈先輩にお返ししますよ?」
「私にお返しされる言葉じゃないよ」
「そんなこと言わないでくださいよ!紗奈先輩可愛いんですから!」
か、か可愛い?私が?
「ほら先輩!行きましょ!」
「ちょ!待って!山野君!」
そうして私は山野君を追いかけた。
「はぁ、はぁ、はぁ…早いよ山野君」
「紗奈先輩が遅いだけじゃないですか?」
「うっ!山野君ひどい!結構気にしてるのに!」
「そうですか。紗奈先輩僕のこと碧くんって言って?」
「え?」
「僕も紗奈ちゃんて呼びたいし敬語なしにしたい」
「私は別にいいけど」
「ほんと!やったー!よろしくね紗奈ちゃん!」
「うんよろしく碧くん」
「それより一緒に帰るって言ったけど家とか違う方面だったりしない?」
「全然そんなことないよ!僕の家こっち方面だし!」
「ならよかった」
「紗奈ちゃんは体育祭応援団とかするの?」
「う〜ん。私はしないかな。友達はするって言っていたけど…」
「へぇ〜そうなんだ」
「急にどうしたの?」
「紗奈ちゃんに応援されたら頑張れるのにな〜って思っただけだよ」
「ふふ。応援団じゃないけど碧くんのこと応援するね」
「ほんと!やったー」
急にジャンプして喜んでいる碧くんを見ると心が癒されるな〜。
それから結構話をした。
碧くんとすっごく気があって話が盛り上がった。
「あっ!私の家についちゃった」
「紗奈ちゃんの家ここなんだ〜」
「うん。そうだよ。碧くんはまだ遠い?」
「その逆ですごく僕の家と紗奈ちゃんの家近いんですよ」
「え?そうなの?」
「うん。歩いて一分もかからないくらい」
確かに山野っていう人が近所の人でいた気がする…。
「紗奈ちゃんと家が近いと言うことは登下校も一緒にできるね」
「確かにそうだね」
「じゃぁこれから一緒に登下校しよう?」
「うんいいよ」
「じゃ明日の朝迎えに行くからよろしくね」
「うん。私もよろしくね」
それから、私と碧くんは一緒にいる時間が増えていった。
そうして私は碧くんと話している時がとても嬉しくて楽しい時間になっていった。
だけど碧くんが他の女の子と話しているのを見ると私は心の中ごモヤっとした。
その気持ちは何か私にはわからなかった。
< 1 / 3 >